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東京地方裁判所 昭和40年(ワ)3738号 判決

原告 佐藤豊子 外二名

被告 土田友光 外一名

主文

1、被告土田友光は、原告佐藤豊子に対し金七九一、一五八円、原告佐藤美佐子、同佐藤枝美子に対し各金四八二、一〇六円、被告金浩連は原告佐藤豊子に対し金九七六、八〇七円、原告佐藤美佐子、同佐藤枝美子に対し各金四八二、一〇六円、および右各金員に対する昭和四〇年六月四日から各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2、原告佐藤豊子の被告土田友光に対するその余の請求を棄却する。

3、訴訟費用は全部被告らの負担とする。

4、この判決の原告ら勝訴の部分は仮に執行することができる。

事実

第一、当事者の求める裁判

一、原告ら。「被告らは各自、原告佐藤豊子に対し金九七六、八〇七円、原告佐藤美佐子、同佐藤枝美子に対し各金四八二、一〇六円および右各金員に対する昭和四〇年六月四日から各完済に至るまで、年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決および仮執行の宣言。

二、被告土田友光。「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決。

第二、原告らの請求原因

一、事故の発生

訴外佐藤勤(以下被害者という。)は、昭和三九年一二月一三日午後九時三〇分頃、東京都港区芝新橋四丁目四番地先の品川方面から銀座方面に通ずる道路上を、自転車に乗つて東側から西側に向け横断進行していたところ、品川方面から銀座方面に向けて右道路上を進行してきた被告金浩連(以下被告金という。)の運転する普通貨物自動車多摩四・そ・七、六三七号(以下被告車という。)に衝突されて路上に転倒し、このため頭蓋骨骨折などの傷害を受けて、翌一四日午前一時三五分頃死亡するに至つた。

二、被告金の責任

被告金は、当時飲酒酩酊して、被告車を運転したため、自動車運転者として尽すべき前方注視義務を怠り、この過失によつて本件事故を惹起したものであるから、直接の加害者として、本件事故に基づく後記損害を賠償する責任がある。

三、被告土田友光の責任

被告車は訴外三友通信建設株式会社(以下三友通信という。)の所有であつたが、被告土田友光(以下被告土田という。)の所有名義に登録されていたのみならず、元来三友通信は被告土田の営業の便宜のため設立された同人の個人会社であり、しかも形式上は被告土田とは別人格たる会社組織になつていたが、何ら会社としての実体を持たず、被告土田個人と全く同視しうる存在であつた。右のような関係から、被告車について被告土田はその運行利益を含む運行支配を有しており、被告車を自己のために運行の用に供する者であつた。

よつて同被告は、被告車の運行により惹起された本件事故に基づく後記損害を賠償する責任がある。

四、損害

(一)  被害者の得べかりし利益の喪失

被害者は事故当時大成建設株式会社に警備員として勤務し、同会社から一日平均金九四八円(休日をも含めて平均した額)の給与を受けていたから、年間の給与収入は金三四六、〇二〇円となるはずであつた。一方建設業に従事する者一人当りの一月平均の消費支出額は、内閣総理府統計局発行の第一三回日本統計年鑑によれば、金八、〇四八円、年額にして九六、五七六円であるから、被害者の生活費も右と同額程度とみるべきである。被害者は当時満四一才の男子であつたから、厚生省発表の第一〇回生命表による同年令男子の平均余命が二九・九七年であることから推して、被害者は本件事故に遭わなければ、右と同程度生存しえて、右の職種から考えて満六〇才までの一九年間に亘つて、右程度の収入を得、生活費を費消し、従つて右年間収入から年間生活費を差し引いた年間金二四九、四四四円の純益をあげえたはずである。これからホフマン式計算方法により年毎に年五分の割合による中間利息を控除して合算し、その本件事故当時における一時払額を求めると金三、二七一、七二四円となるが、被害者の右稼働期間後の余命一〇、九七年間の生活費を右年間生活費を基準にして計算すると金一、〇五九、四三九円となるから、これを右金額から差し引くと、被害者が本件事故により失つた得べかりし利益の一時払額は金二、二一二、二八五円となり、被害者は本件事故により被告らに対し同額の損害賠償請求権を取得したものである。そして原告佐藤豊子(以下原告豊子という。)は被害者の妻、原告佐藤美佐子、同佐藤枝美子(以下原告美佐子、同枝美子という。)は共に被害者の子として、各三分の一の相続分をもつて、被害者の有する権利を承継取得したから、被害者の右請求権のうち、原告らは各その三分の一の金七三七、四二八円の請求権を取得したが原告らは本件事故に基づき労働者災害補償保険法による遺族賠償金九四九、〇〇〇円を受領し、その三分の一の金三一六、三三三円宛を右の原告らが取得した各請求権額から差し引くから、残額は各金四二一、〇九五円となる。

(二)  葬儀費用

原告豊子は、夫である被害者の本件事故に基づく死亡に伴い、その葬儀関係の費用として金一〇一、五四三円の支出を余儀なくされ、これは本件事故に基づく同原告の損害であるところ、同原告は本件事故に基づき労働者災害補償保険法による葬祭料として金五六、九四〇円を受領したから、これを右の損害額から差し引くと、残額は金四四、六〇三円となる。

(三)  原告らの慰藉料

本件事故当時被害者は妻子たる原告らを郷里に残して単身上京し、前記のとおり就職し収入を得て、原告らに生活費を送金し、原告らの生活を支えてきたものであつて、原告らが本件事故によりその生活の支柱を失つたことによる精神的苦痛は甚だ重大である。よつて右苦痛が金銭をもつて償われるためには、原告豊子において金八三三、三三三円、原告美佐子、同枝美子において各金五八三、三三三円の各支払いを受けるのが相当である。原告らは本件事故に基づき自動車損害賠償保障法による保険金六一六、六六七円を受領し、その三分の一の金二〇五、五五六円(円未満切上)宛を右の原告らの各慰藉料額から差し引くから、残額は、原告豊子につき金六二七、七七七円、原告美佐子、同枝美子につき各金三七七、七七七円となる。

(四)  訴訟上の和解に基づく損害金の一部受領

原告らは本件事故に関し、訴外友利建設株式会社との間に訴訟上の和解をなし、これに基づいて昭和四二年二月二八日同会社から本件事故による損害賠償金として金三五〇、〇〇〇円を受領したから、これを原告豊子につき金一一六、六六八円、原告美佐子、同枝美子につき各金一一六、六六六円宛に三分して、以上の原告らの有する請求権の各合算額から差し引くこととする。

五、以上により被告ら各自に対し、原告豊子は前項(一)、(二)、(三)の各残額の合算額から(四)の金額を差し引いた金九七六、八〇七円、原告美佐子、同枝美子は前項(一)、(三)の各残額の合算額から(四)の金額を差し引いた各金四八二、一〇六円およびこれら金員に対する各損害発生の後である昭和四〇年六月四日から各完済に至るまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

第三、請求原因に対する被告土田の答弁

一、請求原因第一項の事実は認める。

二、同第三項の事実中、被告車が三友通信の所有であり、被告土田名義に登録されていることは認めるが、その余は否認する。

三、同第三項の事実は全部不知。

第四、被告土田の抗弁

仮に被告土田が一般的に被告車の運行支配を有していたと認められるとしても、被告金は三友通信の従業員であつたところ、事故当日三友通信の業務は午後五時に終了したのに、被告金は右業務が終了した後に、友人と共に被告車を被告土田および三友通信に無断で、私用に使うため乗り出して運転し、その途上本件事故を惹起したのである。従つて右無断乗り出しによつて被告土田の有する被告車の運行支配は失なわれたから、本件事故当時、被告土田は被告車を自己のために運行の用に供する者ではなくなつていた。

第五、抗弁に対する原告らの答弁

抗弁事実中、被告金が三友通信の従業員であることと本件事故は、同被告が三友通信の業務が終了した後に被告車を運転している途上に惹起されたものであることは認めるが、その余は争う。被告土田ないし三友通信は、被告車の管理を被告金に全面的に委ねており、被告金はいつでも自由に被告車を運転できる立場にあつたものであつて、かかる立場にある被告金が業務時間外に被告車の運転をしたことによつて被告車の運行に対する被告土田の支配が失なわれるものではない。

第六、証拠〈省略〉

理由

第一、原告らの被告金に対する請求について、

被告金は、原告らの請求原因事実について、民事訴訟法第一四〇条第三項本文(但書の適用はないものと認める。)により全てこれを自白したものとみなすべく、この事実によれば、原告らの同被告に対する請求は全て理由がある。

第二、被告土田に対する請求について

一、請求原因第一項記載の事実(本件事故の発生)は当事者間に争いがない。

二、被告車が三友通信の所有であり、被告土田の所有名義に登録されていたものであることは当事者間に争いがない。そして成立に争いのない甲第五号証、乙第一号証、証人金浩連の証言および被告土田本人尋問の結果によると、三友通信は、建設業および土木建築の請負を目的として昭和三九年九月に設立され、専ら訴外友利建設株式会社からの下請の仕事を担当する資本金一〇〇万円の小規模な株式会社であつて、設立当初その代表取締役は竹本敏数であつて、被告土田は単に取締役にすぎず、本件事故後の昭和四〇年三月二〇日に右竹本に代つて代表取締役の地位に就いたのではあるが、設立当初から三友通信の業務の実際の執行、指揮監督はすべて同被告が総括し、従つて被告車の業務上の使用も同被告の指揮下になされていたこと(被告金が本件事故当時従事していた晴海の作業現場においては訴外稲沢が主として現場の監督に当つていたが、これも被告土田の指揮下にあつたものである。)、被告金も、自らを被告土田に使われているものと観念しており(成立に争いのない甲第一号証、甲第三、四号証のうち右認定に反する部分は証人金の証言に照らし採用しない。)三友通信なる名称すら知らなかつたこと、三友通信は建設業を目的とする法人でありながら、建設業法上の登録をしておらず(従つて本来建設業を営むことができない。)、また当時被告土田は自己の名刺に、その地位の表示として「友利建設株式会社営業所長」の肩書を付し、三友通信の社名は全く表示せず自己の住所である三友通信の本店所在地を友利建設株式会社の武蔵野出張所として記入していたこと、被告車の購入に当つては、同被告の名においてこれをしただけでなく、購入代金の頭金をも自己が負担支出したことがいずれも認められる。右事実と前示争いのない事実とを綜合して考えると、三友通信と被告土田との間は、株式会社とその役員との通常の関係に比してはるかに密接な関係にあり、実質的には三友通信は同被告の個人会社と目しうべく、そのため三友通信の利益は同被告の利益に密接に関連しており加えて被告車の運行、使用についても、前示諸関係から同被告が強い発言力を有していたものとみることができるのであり、同被告は被告車についてその運行利益を含む運行支配を有し、被告車を自己のために運行の用に供する者であつたといわなければならない。

そこで進んで同被告の抗弁につき判断するのに、被告金が三友通信の従業員であることと本件事故は、同被告が三友通信の業務が終了した後に被告車を運転しその途上に惹起されたものであることは当事者間に争いがないところ、前出甲第一、第四号証および証人金浩連の証言によると、被告金は、当時三友通信が友利建設株式会社から下請した晴海の配水管新設工事の作業に従事し、その作業現場近くの飯場に起居していたが、被告土田は右の作業に使用させるため、被告車の運転担当者である被告金に、被告車の鍵を預けてその運転と管理を委ね、被告金は、作業終了後は被告車を飯場附近に置いてこれを保管していたこと、被告車は本来右の作業に使用すべきものであつたが、被告金は右のようにその管理を委ねられていた関係から、日頃より就業時間外に飯場に起居する同僚と共に銭湯に通つたり、その他の私用に使つたりしていたが、被告土田ないし三友通信においてもこれを黙認していたこと、本件事故当日は午後五時頃三友通信の業務を終えた後、被告金は、同僚数名と共に銭湯に出かけるため、いつものとおり飯場近くに置いてあつた被告車を、同被告が運転して乗り出し、途中で目的を変えて飲食店で飲酒した後、飯場に帰るべく、被告金が被告車を運転し、その途上で本件事故を惹起したことが認められる。

右のように被告金は平素被告車の運転、管理を委ねられて常時鍵を保管し、またこれを私用に使うことまでも黙認されていたのであるから、就業時間外に銭湯ないし飲食店に行くため、短時間内帰ることを予定して、被告車を運転したことによつて、被告土田の有する被告車に対する前示支配が失なわれたとは、とうてい認められない。

よつて被告土田は本件事故当時も依然として被告車を自己のため運行の用に供するものとして、被告車の運行により惹起された本件事故に基づく後記損害を賠償する責任があるといわなければならない。

三、損害

(一)  被害者の得べかりし利益の喪失

証人久留間英隆の証言とこれにより真正に成立したと認められる甲第六号証、原告豊子本人尋問の結果および弁論の全趣旨によると、被害者は、本件事故当時満四一才の男子であつたこと、事故の数年前から原告ら妻子を郷里(宮城県)に残して単身上京して稼動し、当時は大成建設株式会社に警備員として勤務して、一日平均金九四八円(休日をも含めて平均した額)を下らない給与を得、従つて年間の収入は金三四六、〇二〇円になるはずであつたことが認められ、厚生省発表の第一〇回生命表による四一才余の男子の平均余命は二九、一〇年以上であることから推して、被害者も本件事故に遭わなければなお同程度生存しえて、本件事故後満六〇歳に至る直前までの一八年間は右職業その他の職業に就いて、右と同程度の年間収入を得たであろうと推測される。次に、被害者は右のとおり単身上京して就職していたことと原告豊子本人尋問の結果により被害者は原告らに対し月々金一〇、〇〇〇円ないし金一六、〇〇〇円程度の仕送りをしていた他一年おき位に帰省する際にまとまつた金銭を原告らの為に持つて帰つていたことが認められることとを綜合して判断すると、被害者が右程度の収入の下においてその収入を得るに必要な生活費として費消する額は、月額金一〇、〇〇〇円、年額一二〇、〇〇〇円程度をもつて相当と認めるべきである。(原告らは、内閣総理府統計局第一三回日本統計年鑑による建設業に従事する者の一人当りの月間消費支出額を基準として、その生活費額を主張するが、右の事実に照らしてこれは採れない。)よつて被害者は、本件事故により右年間収入から年間生活費を差し引いた金二二六、〇二〇円の年間純益を、事故後一八年間に亘つて失つたものというべく、これから年毎にホフマン式計算方法により年五分の割合による中間利息を控除して合算し、その被害者の死亡時における一時払額を求めると、金二、八四八、五八五円(円未満切捨)となるところ、被害者の稼動期間後の余命期間における生活費として、金一、〇五九、四三九円を右の一時払額から差し引くべきことは、原告らの自認するところであるからこれを差し引くと、残額は金一、七八九、一四六円となり、被害者は本件事故により被告土田に対し同額の損害賠償請求権を取得したものということができる。

そして原告豊子本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、原告豊子は被害者の妻、原告美佐子、同枝美子は被害者の子として、各三分の一の相続分をもつて、被害者の有する権利を相続により承継取得したと認められるから、被害者の右の請求権のうち、原告らは各々その三分の一である金五九六、三八二円宛の請求権を取得したことになるが、原告らが本件事故に基づき労働者災害補償保険法による遺族補償金九四九、〇〇〇円を受領しその三分の一の金三一六、三三三円宛を右の原告らの取得した各請求権額から差し引くべきことは、原告らの自認するところであるから、これを差し引くと残額は各金二八〇、〇四九円となる。

(二)  葬儀費用

原告豊子本人尋問の結果によると、原告豊子は夫である被害者の本件事故による死亡に伴い、郷里でその葬儀等の法要を主催し、その関係の費用を支出したことが認められるが、その額については、同原告が「七、八万円かかつたと思うがはつきりわからない」旨供述するだけで、これだけでは、同原告が本件事故に基づき労働者災害補償保険法による葬祭料として受領したと自認する金五六、九四〇円を越える金員を支出したとは認め難く、他にこれを認めるべき適確な証拠もないから、結局同原告の葬儀費用関係としての損害の残存は認められない。

(三)  原告らの慰藉料

原告豊子が被害者の妻であり、原告美佐子、同枝美子が被害者の子であつて、本件事故当時被害者は原告らを郷里に残して単身上京して収入を得て、原告らに送金していたことは前認定のとおりであり、なお原告豊子本人尋問の結果によれば、当時原告らの生活は大半被害者の収入で支えられていたこと、被害者の死後原告豊子は原告美佐子、同枝美子を女手で養育すべき立場に立つたものの、病身で収入はなく、前示の遺族補償金等で細々と原告らの生活を維持していること、原告美佐子、同枝美子は、いずれも未成年者であることが認められ、右事実によれば原告らは被害者の本件事故に基づく死亡により甚大な精神的苦痛を蒙つたもので、この苦痛が金銭をもつて償なわれるためには、原告豊子において金八三三、三三三円、原告美佐子、同枝美子において各金五八三、三三三円の各支払いを受けるのが相当と認められる。そして原告らが本件事故に基づき自動車損害賠償保障法による保険金六一六、六六七円を受領し、その三分の一の金二〇五、五五六円(円未満切上)宛を右の原告らの慰藉料額から差し引くべきことは原告らの自認するところであるから、これを差し引くと、残額は、原告豊子につき金六二七、七七七円、原告美佐子、同枝美子につき各金三七七、七七七円となる。

(四)  訴訟上の和解に基づく損害金の一部受領

原告らは、本件事故に関し、訴外友利建設株式会社との間に、訴訟上の和解をなし、これに基づいて同会社から本件事故による損害賠償金として金三五〇、〇〇〇円を受領したから、これを原告豊子につき金一一六、六六八円、原告美佐子、同枝美子につき各金一一六、六六六円宛に三分し、これを以上の原告らの被告土田に対して有する請求権の合算額から差し引くべきことを自認するから、これを、原告豊子につき前記(一)(三)の各残額の合計金九〇七、八二六円、原告美佐子、同枝美子につき、同じく合計金六五七、八二六円からそれぞれ差し引くと、その残額は原告豊子につき金七九一、一五八円となり、原告美佐子、同枝美子につき金四八二、一〇六円を下らない。

第三、結論

以上により、原告らの被告金に対する請求は全てこれを認容し、また被告土田は前第二の第三項(四)の記載のとおり原告豊子に対し金七九一、一五八円、原告美佐子、同枝美子に対し各金四八二、一〇六円および右各金員に対する損害発生の後であること明らかな昭和四〇年六月四日から各完済に至るまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、原告豊子の同被告に対する請求は右の限度で理由ありとして、これを認容し、その余は失当として棄却すべく、原告美佐子、同枝美子の同被告に対する請求は全て理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 吉岡進 浅田潤一 浜崎恭生)

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